初秋のわたらせ渓谷鉄道探訪

2023年11月08日
鉄道写真家 助川康史
素晴らしい鉄道写真を撮るために遠い彼の地へ思いを馳せる。そんな時間も鉄道写真撮影の楽しさの一つです。

しかし近くにある路線に注目して、足しげく通うということも大切です。かくいう埼玉県在住の私は関東にもいくつか好きな路線がありますが、今回はその中でも家から車で一般道を使っても2時間強で到着する群馬県のわたらせ渓谷鉄道に向かいました。

わたらせ渓谷鉄道はその名の通り、栃木県日光市と群馬県沼田市との境にある皇海山(すかいさん)を水源とする渡良瀬川の流れに沿って走る路線。
Nikon Z9 / NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S / F2.8 1/30秒 ISO3200 / PC:ニュートラル
日の出前の列車を撮影。渡良瀬川の白御影石と列車のヘッドライトが青い世界に浮かび上がりました。
車窓から眺める渡良瀬川の渓谷美を求めて、季節を問わず多くの観光客が訪れます。その中でも特に人気がある季節が梅や桜、桃が沿線を彩る春と、見渡す限りの山々が華やかに装う紅葉の秋。

ということで私も秋の彩りと香りを求めてわたらせ渓谷鉄道にやって来たというわけです。

ところが現地についてみると、残念ながら紅葉はもう少しと言ったところ。しかしよく見るとすでに落葉していたり、茶色く枯れた木も多く、少し残念な秋色。
Nikon Z9 / NIKKOR Z 24-120mm f/4 S / F7.1 1/1000秒 ISO400 / PC:ニュートラル
山に囲まれた渡良瀬川にもようやく陽の光が届き始めました。朝の気だるい空気を乗せて列車が行きます。
「夏の猛暑と秋になっても気温がなかなか下がらないせいだね…。」と、地元の人が言っていたことに温暖化の影響が鉄道写真にも大きく響いていると痛感しました。

しかしそれはそれということで、それでも鉄道写真撮影は楽しいもの。少しでも秋の香りを感じられる鉄道と風景のコラボレーションを求めて、わたらせ渓谷鉄道沿線を回りました。
Nikon Z9 / NIKKOR Z 24-120mm f/4 S / F7.1 1/1000秒 ISO800 / PC:ニュートラル
秋の彩りと輝きを感じる場所を発見。よく見ると運転士と乗客の姿も見えます。何気ない場所の何気ない光景です。
わたらせ渓谷鉄道の撮影は移動とカメラのセッティングの繰り返し。時には現場に到着して、ものの数分で列車が来るということもよくあります。

厳密なアングルを求められる鉄道風景写真撮影では三脚はマストアイテムですが、セッティングには速さも必要。そんな現場で高いパフォーマンスを発揮するのがマーキンスの Q20i-BK ノブシュー 大判用 自由雲台です。

カメラがびくともしない完璧なホールディングはもちろんのこと、約一回転でカメラの着脱が可能なクイックターンノブシューで迅速なセッティングが可能です。
三脚を敬遠する理由に「セッティングが遅い」というのが挙げられますが、そう思っている方には Q20i-BK ノブシュー 大判用 をはじめとするマーキンスの自由雲台をお勧めします。

ワンランク上の構図取りが迅速かつ、確実にできることは間違いありません。妥協を許さないアングルが写真表現者としての誇りと撮影の楽しみを高めてくれます。
私が愛用するマーキンス Q20i-BK ノブシュー 大判用 自由雲台は、北は北海道から南は九州まで、共に回りながら四季の移ろいを5回経験してきた相棒です。

おかげでボディもあちこちが傷だらけ。ですが性能と信頼感は出会ったころと全く変わりません。だからこそ、私は鉄道と四季の織りなす美しい光景に憂いなく向きあえることができたのです。
Nikon Z9 / NIKKOR Z 24-120mm f/4 S / F8 1/1000秒 ISO400 / PC:ニュートラル
比較的標高の高い草木湖の沢入駅近くでも木々の色づきはご覧の通り。色褪せた緑が新緑にも見えて、春の景色のような錯覚さえ覚えます。
Nikon Z9 / NIKKOR Z 24-120mm f/4 S / F9 1/640秒 ISO400 / PC:ニュートラル
小中駅~神戸駅の有名撮影地でトロッコわたらせ渓谷号を撮影。河原のススキ中心の構図で秋のワンシーンを表現しました。少しススキが寂しいですが、鉄道風景写真なので列車中心にならないよう構図に気を付けます。
Nikon Z9 / NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S / F3.5 1/640秒 ISO1600 / PC:ニュートラル ※ハーフNDフィルター使用
夕方に沢入駅~原向駅の渓谷沿いを撮影。ここは標高が高いので紅葉が進んでいました。日は山稜に隠れましたがフラットな光も紅葉を撮影するには良いものです。
Nikon Z9 / NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S / F2.8 1/320秒 ISO3200 / PC:ニュートラル
日の入り時刻を過ぎて河原に降りてみました。徐々に青い世界へと変わるので紅葉の彩りはわからなくなりますが、渡良瀬川を渡る列車を印象的に捉えてみました。
Nikon Z9 / NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S / F5.6 1/3秒 ISO3200 / PC:ニュートラル
辺りはすっかり夜となった上神梅駅。古い駅舎とホームにこぼれる灯り、そして走り去る列車のテールランプが旅情感を醸し出します。
※ 再生されない場合は
鉄道写真家 助川康史
助川康史
1975年生まれ。 秋田経済法科大学法学部卒業。 東京ビジュアルアーツ写真学科卒業後、鉄道写真家の真島満秀氏を師事。 (有)マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ勤務。 鉄道車両が持つ魅力だけでなく、鉄道を取りまく風土やそこに生きる人々の美しさを伝えることをモットーに日本各地の線路際をカメラ片手に奮闘中。 鉄道ダイヤ情報(交通新聞社)や鉄道ジャーナル(鉄道ジャーナル社)などの鉄道趣味誌や旅行誌の取材をはじめ、JTB時刻表(JTBパブリッシング)やJR時刻表(交通新聞社)の表紙写真を手掛ける。またJR東日本などの鉄道会社のポスターの撮影も精力的に行っている。
日本鉄道写真作家協会(JRPS)理事
ウェブサイト: sukeyasu2450.blog.fc2.com
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