about Maximum Load
自由雲台の性能を知る一つの基準に耐荷重量がありますが、これは装着可能な機材の重量とは異なります。
この記事は耐荷重量の直接の説明ではありませんが、Markins(マーキンス)の耐荷重量につい分かりやすく書かれた記事ですのでご紹介します。
「韓国語版 デジタルカメラマガジン 2007年 6月号 “自由雲台 6モデル 俗説は捨て、実力で勝負”」より |
記事の内容は5社メーカー6モデルの自由雲台を徹底的に比較評価するという内容のものですが、他社製品の評価に関する部分は省略しました。
また、翻訳に関しましてはできるだけ原文に忠実であるよう努めましたが一部理解しにくい箇所に関しましては当ショップにて分かりやすい表現に変更しました。
自由雲台の最も致命的な短点は、ダイヤル一つで角度と締結を調整するため、一般のヘッドよりも「カックン」してしまうことがあるということである。例えば、ギア式のヘッドの場合は、一度固定させれば、部品が壊れない限り角度が変わるということはほとんどない。このような締結の問題を解決するために、自由雲台の製造社は大部分、油圧を利用したロック装置と精密に加工されボールを掴むことができる摩擦パッドをいかにうまく作るかに集中してきた。そうは言ってもカタログや広告で、製造社が明かす耐荷重量をそのまま信じれば誤算が生じる。製造社ごとに、 耐荷重量を決める基準や方法が違うからだ。
一般的にカメラを自由雲台の上に地面と垂直方向に設置すれば、自由雲台や三脚が壊れない限り耐えることはできるが、それが重い望遠レンズやビューカメラで撮影をするとなると、重みの中心が一方向に片寄ってしまうため、耐えきれなくなる場合がある。したがって自由雲台のすぐ上を垂直方向に押さえる力に対する耐荷重量は特に意味がなく、ボール自体にかかる力、つまり「テコの概念」を用いてこそ正しい耐荷重量を表示することができる。
筆者は、自由雲台製造社の広告と実際の耐荷重量テストとを比較しながら、多くの広告が誇張されていたり、実践では使えない基準で表記された数値であることを発見した。今回のテストでは、重みの中心が片方に片寄る偏荷重を自由雲台がどれだけよく耐えれるかを実際に測定してみた。自由雲台に長さ別に重りを掛けるバーを設置し、そのバーに角度を0.1度単位で測定できる計測器を付着させ、実際に自由雲台が耐えれる範囲を測った。
とても大きい荷重が加わり得るので、この実験にはリンホフの大型三脚を使い、重りを設置するバーもまた、金属パイプを改造した(総重量5.4kg)ものを使用した。
まず自由雲台に5.4kgの測定バーを設置し、角度を0度に合わせた後、次に1kgの重りを3つ、自由雲台から30cm地点に掛けて、角度がどのくらい変わるかを測定した。その後40cm地点まで距離を広げ、長時間締結後、追加でどれだけ多くの重りに耐えられるかを調べた。測定が終わった後、重りを取り外し、最終角度がどれだけ変わったかを調べた後、プレートやクイックシューの弾性により角度が変わったのか、もしくはボールが動いたため角度が変わったのかを最終的に判断した。
リンホフの三脚。望遠レンズやベローズを使うことを想定し、大型の三脚でテストした。
三脚に測定道具を装着
自由雲台からの距離が分かるバーを取り付け計測器を載せた。
計測器は変化する角度を0.1度単位で測定する。
45kgでもびくともしない世界最高水準の締結力!
※ M20の後続モデルはQ10i シリーズ です
M20は、製品カタログに表示されている耐荷重量がなんと45kgである。Arca-Swiss(アルカスイス)や KIRK(カーク)などの最高級ブランドよりもむしろ耐荷重量が高い高級製品である。今回の測定バー(10~12kg)の重量と重り(12kg)を利用した実験で、0.1度の変化しか起こらなかっただけでなく、10分経過後も0.1度の変化も起こらずに、そのままを維持するという驚くべき性能を見せてくれた。
重りを取り除いた後には、元の角度に戻り、24kg程度では全くの変化を見せなかった。準備した重りに余りが無かったので実験を続けることができなかったが、40kgの耐荷にも問題はなさそうである。ボールの耐荷重量という面では最高の性能である。
重りを掛ける前
重り3kgを掛けた後
(換算 9kg)
10分経過後
40cmに移動後
(換算 12kg)
重りを外した後
小さくて強い自由雲台、30kgまでは無難!
※ Q3の後続モデルはQ3i シリーズ です
カタログによるとQ3の耐荷重量は30kgである。今回の実験対象の中では最も小さいサイズだということを考えれば驚くべき耐荷重量である。9kgの重りを掛けたとき、0.1度変わり、10分が過ぎると0.2度角度が変化した。そして12kgを掛けたときには0.3度変化した。M20よりは締結力が多少弱いが、他の製品に比べれば卓越した締結力を見せてくれた。また重りを取り除いた後に、もう一度0度に戻り、実際は20~24kg程度ではボールの角度が変わらないことを証明した。この程度であれば、30kg程度の締結力にもさほど問題はない。
マンフロット468RC2と同様、製品に表示された耐荷重量と実際に耐えれる耐荷重量がほとんど同じであり、製品の一貫性を示した。
重りを掛ける前
重り3kgを掛けた後
(換算 9kg)
10分経過後
40cmに移動後
(換算 12kg)
重りを外した後
上のような精密レーザーのレベル測定装置を使って、10m程の距離から角度を測定してみると、その変化を簡単に確認することができる。10m先からレーザーを放ちmm単位で表示されたシートに光を投影させ、自由雲台の角度が実際に距離に比例して変化する角度を数値に表してみた。 実験からも見れるように、10m程度離れて投影したシートからも最大1cm程度の位置が違ってくるということが分かった。筆者は野外撮影時には、0.5度以上の変化が起きうる耐荷重量は避けることをお勧めする。1度以上の変化があれば、それは最大耐荷重量を超えたものであり、その重量以内を維持するべきである。
実際に 0.1度~0.3度までは写真に大きな影響は及ぼさないが、0.5度以上は大きな影響を及ぼす。望遠レンズを利用した現場テストの写真を見ても簡単に比較することができる。
ソニーα-100 + 望遠レンズ(シグマ 50-500mm) をマーキンス M20に装着し、三脚に取り付けて 0度 / 0.5度 / 1度 の角度でそれぞれ撮影してみた。被写体とカメラの距離は約40mで、300mm以上の超望遠レンズで撮影するには適切な距離だと言える。
記者 : Jeong Byeong Ju
ニックネームは、「軍事雑誌」。SLRクラブにてDSLR評論家として活躍中。 フォトアカデミー講師。