オホーツクの旅

2022年06月 オホーツクの旅
写真家 中西敏貴
写真家 中西敏貴
北海道の6月は春と夏が同居する季節。標高を上げたり北上することで、瑞々しい新緑に出会えたり、場所によっては桜を楽しむことさえできる。もちろん標高の低い場所では初夏の陽気が続き、相対的にとても気持ちのいい季節だ。

毎年のことだが、僕はこの時期に道内を旅することにしている。場所によって季節の進み具合が異なることから、想像以上の光景にであえるのが楽しみなのだ。今回選んだのはオホーツク方面。自宅からそれほど遠くないので、朝の撮影を美瑛で終えてから出発することにした。
写真家 中西敏貴
時間は朝の3時30分。まだ薄暗いうちに現地に到着し、いつもの赤いマーキンスにカメラをセットする。30分ほど前の空の様子から、今日は焼けそうだと予想していたので慌てることはないが、それでも刻一刻と変化していく空の様子に素早く対応するには慣れが必要だ。

写真家 中西敏貴
雲台の操作性については、いまさら言及する必要もないほど信頼を置いている。ここまで使い込むと、目を閉じていても装着できてしまうほどだ。それほどにマーキンスの操作性は群を抜いている。
* * *
朝焼けの撮影を終え、一気にオホーツク方面と車を走らせた。時間にして4時間ほどだから、途中いくつか寄り道をして、夕刻の頃サロマ湖畔に到着。この日は生憎の空模様だったにも関わらず、湖畔に着く頃には青空も見え始め、雲間からは光芒が落ちていた。
写真家 中西敏貴
変化し続ける光に合わせるように撮り進めていくのはいつものこと。リフレクションが美しい湖面が風で揺らぎ始めるまでが勝負となるため、ゆっくりはしていられない。毎度書いていることだが、自由雲台の操作性は現代風景写真においては必須の条件と言えるだろう。
サロマ湖での撮影で満足したので、今度は内陸方面へと車を走らせた。行き先は新緑真っ盛りのオンネトー。以前の現場レポートでもお伝えした雌阿寒岳の麓にある幻想的な湖だ。ここの水は五色に変化するともいわれるほど季節や時間によって見え方が違う。新緑の時期はその色を写し込むので、とても美しい発色が見られるのだが、案の定この日も美しい色合いを見せていた。
オンネトーでの滞在時間は短かったものの、思った以上の撮れ高があり、こちらでも満足して帰宅することに。北海道中央部の標高の高いところでは、ちょうど新緑がピークを迎えており立ち寄る先々で心が浄化されるような緑に出会うことができた。今回は3日ほどの短い行程であったが、そうした動きが可能になるのも、北海道の中央部に住んでいる特権だろうと思う。

この夏に、もう数回旅に出てみたいと考えている。
マーキンス自由雲台
写真家 中西敏貴
中西敏貴
1971年大阪生まれ。長年北海道へと通い続け、2012年に撮影拠点である美瑛町へ移住。農の風景とそこに暮らす人々をモチーフに撮影を行う。近年は大雪山とその麓に広がる原生林にも意識を広げながら、自然の造形や生命、人間との関わりへの視点を深化させ、理想とする風景のあり方を探っている。2020年9⽉キヤノンギャラリーSにおいて写真展「Kamuy」を開催。
ウェブサイト: www.toshikinakanishi.com

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