四国巡りの旅

2020年10月12日 四国
風景写真家 佐藤 尚
風景写真家 佐藤尚
今回、香川県の「ギャラリーおおきた」で開催していた写真展の在廊目的と、地元の写真クラブ“フォト翔”のメンバーさんらに会うため四国に入った。滞在中に効率よく四国四県を写したいと考えていた。

四国の最初の朝は翠波高原に向かう。コスモスの名所なのだが到着して確認すると刈り取られたのか咲いていない。その日は下界に下りても曇りなので慌てずに深い霧の山頂付近にいることにした。赤松林を、望遠レンズで離れた位置から使うことで圧縮効果を狙って撮る。木から離れることで画面がシンプルに整理される。時おり強い風が吹く。三脚の足をしっかり地面につけてカメラは雲台に載せてノブをキュッと締めてブレない撮影を心がける。
風景写真家 佐藤尚
愛媛県四国中央市・翠波高原
FUJIFILM X-T4 / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR / F7.1 1/30秒 ISO200 +0.3EV
七宝山へは細い林道を車の運転をして上がっていく。途中で開けたところがあり視界が開けたが少し過ぎてしまったら止める場所やUターンする箇所もなく、結局は上まで行って引き返し戻ってくることになり、日の出の時刻には間に合わず既に朝日は大地を照らしていた。こんな時は気持ちを落ち着けること。もっと早く到着していればなど余計なことを考えないこと。目の前の風景に集中すること。

三脚を引っ張り出して、雲台にカメラを装着し、10秒もかからず最初の一枚目を撮る。光は変化するのでカメラアングルを変えながら撮っていく。三脚にカメラをつけたまま肩に担いで道路を駆けて違う場所から別方向に向けて撮る。また、駆け戻ってきて撮る。天から光のシャワーが出てくれたのは幸運だった。以前から、この山からの讃岐平野の溜池風景を写したかったのだった。カメラを雲台に装着するのが早く行え、カメラを雲台につけたまま走ってもカメラが落ちる心配は全く無用、なんとも機動性に富んだ雲台である。
風景写真家 佐藤尚
香川県三豊市・七宝山
FUJIFILM X-T4 / XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR / F10 1/550秒 ISO400 -1EV
翌朝の撮影のために撮影現場で車中泊することにした。夜ご飯を食べ終えて翌日に備えて寝ようとしたところ夜霧が現れているのに気づいた。その現象に慌てて三脚とカメラを出して撮影を急ぐ。真っ暗でもクイックシューにカメラを固定する操作は慣れたもの。簡単に言えば、カメラを雲台に付けるのはつまみを一ひねり、そして、決めたアングルを固定するのは別のつまみを一ひねり、周囲が暗くても容易にできる。カメラのピント合わせを慎重に行う。夜景撮影は絞れないのでピント合わせに一番集中が必要だ。それでも、最初の一枚目まで1分もかからなかったんじゃないだろうか。真っ暗ではなく月明りがあり霧の様子が浮かび上がったのは幸運だった。
風景写真家 佐藤尚
徳島県三好市・落合集落
FUJIFILM X-T4 / XF16-55mmF2.8 R LM WR / F6.4 60秒 ISO1600
運転してきて立割棚田に着くと形のいい雲が浮かんでいた。車を止めて写す前に、上空の雲を確認すると大きな雲が太陽を隠して棚田に影をいつ作るかわからない状況だ。また、今の良い雲の形がいつ崩れてしまうかわからない。撮影は急がねばならなさそう。やはり、こんな時も撮影までの動作が少なくできる方がいい。三脚を出して、すぐ撮影開始だ。そうそう、私は三脚は伸ばしたまま車に積んでいる。直ぐにカメラを載せられることがどんなに大切か知っているからだ。
風景写真家 佐藤尚
高知県土佐町・立割棚田
FUJIFILM X-T4 / XF16-55mmF2.8 R LM WR / F10 1/80秒 ISO200 -0.3EV
マーキンス自由雲台
FUJIFILM X-T4 / Markins Q10i-BK PLV80170
マーキンスの雲台が軽量コンパクトなのは多くの人に知られている利点の一つだ。そして、使いやすい機能から生まれる速射性も利点に挙げられる。直ぐに撮れるというのは写真撮影に大事なこと。そして、逆に、撮影待機中に、直ぐにカメラを雲台から外して手持ち撮影に変えられることも、撮影現場では利点であることも付け加えておく。
写真家 佐藤尚
佐藤 尚
1963年福井県生まれ、埼玉県戸田市在住。少年期を南米・ペルーで過ごす。1984年東京写真専門学校卒業後、山岳写真家・風見武秀氏に師事。1990年にフリーとなる。 47都道府県の農村や自然などを対象に撮影を続け、新潟県魚沼と埼玉県見沼田んぼをライフワークとして取材している。近年は、懐かしくほっとする日本の原風景をテーマにした作品作りをしている。主に、雑誌、業界誌、カレンダーなどに作品を発表し、フォトコンテスト審査、イベント講演を行う。その傍ら、地元埼玉県の見沼田んぼで写真ワークショップ「里ほっと」を主宰する。
日本風景写真家協会会員
FUJIFILMアカデミーX講師
日本学生写真部連盟指導会員
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