Koji Nakano | Markins BV-HEAD
AF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VR
AF-S Teleconverter TC800-1.25E ED
1972年生まれ。
野鳥や飛行機の撮影を得意とし、雑誌や広告を中心に作品を発表。
「Birdscape~鳥のいる風景」、「Jetscape~飛行機の飛ぶ風景」の2大テーマを求めて国内外を飛び回る。
近著に「デジタルカメラによる野鳥の撮影テクニック」(誠文堂新光社)、「デジタルカメラ飛行機撮影術」(アストロアーツ)などがある。
ウェブサイト: www.strix-photography.com
日本写真家協会会員
野鳥撮影では高性能一眼レフカメラと大口径超望遠レンズの組み合わせが主流です。
僕がメインレンズとするニコンの800mmF5.6は約4.5kg、カメラボディと合わせると約5.5kgにもなります。これらの重量級システムを支える三脚と雲台は、当然ながらそれなりの大きさと重さを覚悟しなければなりません。
三脚も雲台も、ブレ防止のためには大きく重い方が有利ですが、全機材を自分で運ばなければならないフィールドでの撮影では、可搬性も重要な機材選びのポイントです。
一般的なカメラ用の3ウェイ雲台は超望遠レンズの重量に耐えられるモデルが少ないですし、今流行のビデオ用雲台は1日中歩き回って撮影するには重すぎるのです。三脚はアルミからカーボンになったことで劇的な軽量化を遂げましたが、複雑な機構が必要な雲台にはそれほどの軽量化を望めませんし、固定力を強くするためには重量はあまり落とせないというのが常識的な考え方でしょう。ゆえに雲台選びというのはとても難しく、すべてにおいて満足できる雲台はないとあきらめていました。
そんなときに出会ったのが マーキンス Q20iQ-BK/BV-22 です。僕がこれまで使用してきた雲台のどれよりも小さく、重量は800gにも満たないほど軽量コンパクトです。「こんな小さい雲台で超望遠レンズを支えられるのだろうか」と疑いながらも800mmレンズを載せて動作確認をしてみましたが、ボールヘッドとは思えないような安定した止まりに驚きました。しかもボール固定ノブの締め付け具合によりフリクションを調節できるので、鳥の動きに合わせてカメラを振るときでも、ビデオ用雲台のような適度な粘りで追い続けることができます。しかもボール固定ノブをグッと締め込めば、その位置でピタリと止まってくれるので、フレーミングのズレがあまりありません。800mmの超望遠レンズの画角ともなれば、ほんの少しのズレでフレーミングが大きく変わってしまうので、この固定力は大きな魅力です。
特筆すべきは、機材をセットした状態で三脚を担いで歩き回ってもどこも緩まないことです。山の鳥を撮る場合、いつ鳥が出現してもすぐに対応できるよう、カメラとレンズをセットした状態で歩きながら探鳥することが多いのですが、多くの雲台ではこのときに機材の重みと振動に耐えられずにカメラ取り付け部が緩んでしまいがちです。ところが マーキンス Q20iQ-BK/BV-22 は1日中歩き回って撮影しても一度も緩むことがありませんでした。
もちろん移動時には右写真のように重いレンズを下向きにして重量バランスと取らないと雲台そのものが緩んで外れてしまいますし、ときどき各部の締め込みを確認する作業は忘れてはなりません。また移動中は常にカメラやレンズのストラップを握って機材落下防止に努めることも重要です。
そして1日の撮影を終えたときの疲労が少ないのは、やはり雲台周りの軽さのおかげでしょう。軽量コンパクトと抜群の止まりを両立するこの雲台は、機動性重視の野鳥撮影には最適だと思います。