鳥越章夫 (VR-Holder)
ロープロファイル雲台 G2271M
1968年、神奈川県生まれ。静岡大学工学部大学院卒業後、大手情報機器メーカー入社。 その後、退職してフリー写真家となる。
日本の美しい自然に惹かれ、カメラのレンズを向ける。
絵画調のソフトな作風を得意とし、雑誌への記事執筆、企業カレンダー、パンフレットなどに自然写真を提供。
撮影からデジタル処理まで幅広く扱い、アマチュア向けの写真教室・レタッチ教室も開催している。
ウェブサイト: http://tory.com/
自然写真を中心に撮影をしています。
自然のフィールドで活動するには機材の軽量化も大切です。
インターネットで検索をしているうちにマーキンスの機材のことを知りました。
調査してみると、まず大変軽量であることに魅力を感じました。
そして堅牢性についての評判もすこぶる良いとのこと。
これまで私が使用してきたアルカスイス規格のクイックシューにも使えることが分かりさっそくプレートなどを購入して使用していましたが、驚くほど軽量コンパクトで強度も十分あり、大変満足していました。
今回、ブレ防止対策として『VR-ホルダー』という製品が目にとまり、クイックシューと一緒に取り寄せてみました。
望遠レンズの撮影では『ブレ防止』にとても神経を使いますが、特に三脚座の無い望遠レンズでは撮影時にカメラ本体の『ミラーショック』がレンズ先端に伝わり振動してしまうため、それが顕著に表れます。それを防止するためには『レンズとカメラを2点で支えるVR-ホルダー』がとても有効と判断したからです。
機材を初めて手にしてみた印象は、とにかく軽量コンパクトであるということです。
自然の中を移動しながら撮影をする私のスタイルには、機材の軽量化が何より大切です。
単焦点の望遠レンズ一本分の大きさなのでバッグ内部に収納できますし、300g以内に収まる重量というのがとても有り難いです。
操作性は大変良好で、クイックシューゆえ素早く装着できますし、それでいて強度が落ちることもなく機材はガッチリと確実に固定され、非常に高精度に作られていると感じました。
そしてノブにはラバーが巻かれていて手の脂などで滑る心配、あるいは寒冷地でグローブをはめたままの操作でも滑る心配がありません。
雲台に取り付けたマーキンスのクイックシューも同様にノブによる確実な締め付けで操作性、堅牢性は大変良好です。落下防止のストッパーピンも付いていて安心です。
VR-ホルダーの底面は全ての箇所をクイックシューに固定できます。
これにより、クイックシューを緩めて前後にスライドさせることができ、望遠レンズとカメラの中間の最適なバランスポイントで固定することができるため、更に振動抑制効果を高めることができます。
また、VR-クイックシューのノブとは別に角度調節用のノブがあり、レンズの大小にかかわらずカメラとレンズを最適な位置関係でホルダーに装着することができます。
そしてこのノブにもラバーが巻かれていて、しっかりと確実に固定することができます。
ノブの動作は『大変滑らか』で『適度な粘り』があり、操作しているうちに機材に対する『信頼感』が湧いてきます。
これらの小さなところにも手を抜かないところに職人気質を感じました。
ラインアップを見渡すと、300mm以下のレンズに対応する製品から、それ以上のレンズに対応する製品があり、そしてノブシューとレバーシューをユーザーの好みで選べること、さらにカメラのバッテリーパックの有無によってオプションパーツが用意されていることなど、製品管理は大変だと思いますが、ユーザーの立場にとってキメ細かい製品ラインアップとサポートが用意されていることに大変感心しました。
これまで類似の製品は色々と試してきましたが、まさにマーキンスのVR-ホルダーは『決定版』と言えるものでしょう。
多くのカメラマンの方に推奨できる製品だと思います。
以下、VR-ホルダーの効果を実地撮影で検証してみましたので作例写真とともに紹介します。
≪撮影データ≫
Nikon D700 + Tamron SP180mm F2.5 LD
ISO200, F16, 1/15秒, 180mm
掛川市・加茂花菖蒲園での撮影です。 木道で近づけない遠くの菖蒲を狙うために180mmの望遠レンズでの撮影です。
単焦点レンズのため、三脚座が無く、低速シャッターになるとミラーショックによるブレが画面に現れます。
『ホルダーなし』の画像を拡大してみると、微細なブレが画像のシャープ感を損ねていますが、『ホルダーあり』の画像はブレが軽減されてシャープ感が改善されていることが分かるでしょう。
ホルダーなし
ホルダーあり
≪撮影データ≫
Nikon D700 + SIGMA 50-500mm F4-6.3 EXDG HSM + ×2テレコン
ISO200, F13, 1/15秒, 1000mm
浜名湖での早朝撮影です。三脚座のついているレンズではありますが、テレコンを装着して1000mmでの超望遠撮影のため、『ホルダーなし』の画面を拡大してみると大きくブレていることが分かります。そこで三脚座を取り外し、VR-ホルダーを使用してレンズとカメラの2点で支えるようにしたら、『ホルダーあり』の画像のように見事にブレを止めることができました。
ホルダーなし
ホルダーあり
≪撮影データ≫
Nikon D700 + SIGMA 50-500mm F4-6.3 EXDG HSM
ISO1600, F6.3, 1秒, 500mm
五井山から蒲郡市の夜景を撮影したものです。夜景撮影では長時間露光が多く、少しの振動が画面のシャープ感を損ねてしまいます。
ここでもVR-ホルダーは大活躍してくれました。『ホルダーなし』の画像はミラーショックによるブレの影響が顕著に見られますが、『ホルダーあり』の画像ではブレがかなり抑制されているのが分かると思います。
長時間露光の際にも安心して使用することができます。
ホルダーなし
ホルダーあり