萩原史郎 | 自由雲台
テーマ
自然風景
撮影者
風景写真家・萩原史郎
撮影日付
2017年5-7月
撮影場所
東京都、栃木県
撮影機材
マーキンス
:
オリンパス
:
OM-D E-M1 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
FUJIFILM
:
X-T2
XF16-55mmF2.8 R LM WR
GFX 50S, MT
GF32-64mmF4 R LM WR
GF120mmF4 R LM OIS WR Macro
GF23mmF4 R LM WR
XF16-55mmF2.8 R LM WR
GFX 50S, MT
GF32-64mmF4 R LM WR
GF120mmF4 R LM OIS WR Macro
GF23mmF4 R LM WR
マンフロット
:
MT055XPRO3
レビュー
萩原史郎 (はぎはら しろう)
オリンパス・フォトパス「山コミュ」管理人
カメラグランプリ選考委員
日本風景写真家協会(JSPA)会員
1959年 山梨県甲府市生まれ。日本大学卒業後、株式会社新日本企画で「季刊(*現在は隔月刊) 風景写真」の創刊に携わり、編集長・発行人を経験。退社後はフリーの風景写真家に転向。現在自然風景を中心に撮影、執筆活動中。
オリンパス・デジタルカレッジ講師オリンパス・フォトパス「山コミュ」管理人
カメラグランプリ選考委員
日本風景写真家協会(JSPA)会員
- 主な写真展 -
2011年
タムロン創業60周年記念プロジェクト『Eternity at a Moment-写真家60人の「瞬間と永遠」』
2012年
富士フイルム主催、風景写真出版企画「花咲けニッポン!-サクラ・さくら・桜」
2013年
富士フイルム主催、風景写真出版企画「絶対風景」
2014年
富士フイルム主催、風景写真出版企画「天晴れ! ニッポン山風景」
2015年
フジフイルムスクエア企画展「色 X 情」開催(東京・仙台・福岡・名古屋)
- 主な著書 -
- 「四季の風景撮影」シリーズ8冊(日本カメラ社)
- 「構図決定へのアプローチ法」(玄光社)
- 「RAWから仕上げる風景写真テクニック」(玄光社)
- 「自然風景撮影 上達の鉄則60」(玄光社)
- 「基本からわかる光・形・色の活かし方」(玄光社)
風景写真を撮るときに大事なのは
風景写真を撮るとき、常に意識することは絶対にぶらさないことだ。そのためには、さまざまな手段を講じることになるが、その1つが三脚を使うこと。近頃では手ブレ補正機能が進化して、手持ち撮影も悠々できるようになってきてはいるが、それでもスローシャッターを使う場合や高画素機で撮影するとき、あるいは星空撮影、望遠レンズを使うときなど、プロとして絶対にぶらしてはいけない場面では三脚は必須なのである。加えて、構図を完璧に追い込むときも三脚はなくてはならないものなのだ。しかし三脚を使う場合も、設置に時間がかかってモタモタしたり、縦横を切り替えるときに時間がかかってしまっては、せっかくのシャッターチャンスを逃してしまうことになりかねない。とすれば、大事なのは三脚だけでなく、雲台も、なのである。
私はこれまで3ウェイ雲台を使ってきた。3方向を別々に動かせるという意味において、これ以上便利なものはないと思ってきた。一方で、速写性に欠けることもわかっていたが、使い慣れた機材をおいそれと変えることはなかなか難しく、なんとなく流されるままに3ウェイ雲台を使い続けてきたのである。ところがこの春からマーキンスの自由雲台を使う機会を得て、それ以降、考え方がガラリと変わってしまった。写友から薦められたことがきっかけだが、使い始めて早2ヶ月。もう自由雲台以外では撮影できない身体になってしまった(笑)。
私はこれまで3ウェイ雲台を使ってきた。3方向を別々に動かせるという意味において、これ以上便利なものはないと思ってきた。一方で、速写性に欠けることもわかっていたが、使い慣れた機材をおいそれと変えることはなかなか難しく、なんとなく流されるままに3ウェイ雲台を使い続けてきたのである。ところがこの春からマーキンスの自由雲台を使う機会を得て、それ以降、考え方がガラリと変わってしまった。写友から薦められたことがきっかけだが、使い始めて早2ヶ月。もう自由雲台以外では撮影できない身体になってしまった(笑)。
マーキンスである理由
その理由はいくつもある。1つ目は耐荷重。私が使っている「Q10i-BK」は耐荷重が45キロ。実は届いた荷をほどいてパッケージを開けたとき、あっけないほど小さな自由雲台に拍子抜けした。それほど「Q10i-BK 自由雲台」の外見は小さいのだが、それでいて耐荷重性能は非常に高いのである。現在私は中判フォーマットである富士フイルムのGFX 50Sを使っているが、ズームレンズ込みでも2キロに満たないGFX 50Sなど、らくらく止めてしまう。実際、この2ヶ月ほど使ってみたが、GFX 50Sの画像がぶれたことはただの一度もない。
2つ目は操作性が私の撮影スタイルに合っていること。実はこれはとても大切なことで、いくら使いやすいとウエブや雑誌などで声高に述べられていても、その使い心地が自分にマッチしていなければ、なんの役にも立たない。「Q10i-BK」は、アルカスイスと互換性のあるクイックシューを含めてデザインされたものなので、カメラやレンズ側にもプレートを装着して使っているが、これが極上の使い心地を提供してくれるのである。
マーキンスのプレートを装着したカメラを雲台に固定するときは、クイックシューのノブをわずかに回転させるだけで素早く装着が完了する。強い力を必要としないので、女性でもしっかりと固定することができるはずだ。車から降りて、すぐに撮影したい場合でも、三脚への設置が短時間で完了するこのシステムは魅力的だ。またボール固定ノブは大型で指がかりもよいので、アングルの決定もスムーズだ。カメラのファインダーを覗きながらでも、大型のボール固定ノブを手探りで探すことは容易なので、フレーミングに支障をきたさない。真上にカメラを向けることも、自由雲台は得意だ。森を撮影する場合は、レンズを上向きにすることが多いが、そういう撮影の場合でも、スムーズに撮影できるメリットは大きい。3ウェイ雲台の場合は、カメラを逆向きに装着する必要があるが、そういう面倒な作業は自由雲台には不要なのだ。さらに「Q10i-BK」にはパンニング・ベースが備わっているため、カメラを左右に振ることも簡単で、水平を維持しながらパンすることもできるため、被写体を変更することもスムーズに行うことができる。
なにより「Q10i-BK」とプレートの組み合わせによって、横位置と縦位置の構図を光軸を維持したまま素早く変更できることは、絶えず変化する風景を撮影する上で大きなメリットとなる。光軸の変化は、遠景だけで構成された風景を撮影する場合はほとんど関係のない話だが、前ボケを使って中距離の被写体を主役にするというような場合は、かなり影響を受けることになる。3ウェイ雲台の場合は、パン棒の操作によって横位置構図から縦位置構図に変更するわけだが、そのときカメラの光軸はどうしても変化してしまうから、それを修正するために時間がかかるし、あらためて水平垂直を出すための時間も無視できない。しかし、カメラにL型のプレートを装着していれば、クイックシューのノブを緩めてカメラを外し、ボディ左側のプレートをクイックシューに装着し直すだけで、光軸も水平垂直も維持され、しかも素早い変更が可能になるのである。言葉で説明すると、なんだかややこしく聞こえるかもしれないが、実際に体験してみると一瞬で納得できる話なのだ。
ただし、メリットばかりではない。プレートがカメラの専用設計品なら問題はないが、汎用品を使っている場合は多少の不具合が生じる場合がある。このあたりは正直にお話しておきたい。たとえば、GFX 50Sにはまだ専用のプレートがない。そのため、汎用品であるLU-100を使っているが、これを使うとボディ左側に備わっているバッテリーの取り出しのための蓋が開かない。だからバッテリーの充電や交換の際に、いちいちプレートを外す手間が必要だが、その面倒な作業をしてまでもL型プレートを装着しておく意味はある。横位置と縦位置の切り替えやすさと光軸の維持ができるからだ。
3つ目は持ち運ぶときに安全性が高いこと。たとえば3ウェイ雲台付きの三脚をザックに固定して森の中を歩いていると、枝がパン棒に引っかかってしまったという経験をお持ちの方は多いと思うが、マーキンスの「Q10i-BK」は突起が極めて小さいため、このようなことが起こりにくい。クイックシューをたたんでしまえば、より安全性は向上する。小さなことのように思うかもしれないが、フィールドを歩く経験があればわかっていただけるかと思う。
現在使っているオリンパスのOM-D E-M1 Mark II、そして富士フイルムのGFX 50SとX-T2にはL型のプレートを装着して撮影を行っているが、従来とは明らかに取材の効率が上がっている。とくに縦位置を好む私にとっては、「Q10i-BK」とL型プレートの組み合わせは、願ったり叶ったりなのである。
なかなかベストな雲台に出会えない、自由雲台を使ってみたいがどれがいいのかわからないと思っている方は、ぜひ使ってみて欲しい。間違いのない製品であることが、すぐにわかるはずだ。
2つ目は操作性が私の撮影スタイルに合っていること。実はこれはとても大切なことで、いくら使いやすいとウエブや雑誌などで声高に述べられていても、その使い心地が自分にマッチしていなければ、なんの役にも立たない。「Q10i-BK」は、アルカスイスと互換性のあるクイックシューを含めてデザインされたものなので、カメラやレンズ側にもプレートを装着して使っているが、これが極上の使い心地を提供してくれるのである。
3つ目は持ち運ぶときに安全性が高いこと。たとえば3ウェイ雲台付きの三脚をザックに固定して森の中を歩いていると、枝がパン棒に引っかかってしまったという経験をお持ちの方は多いと思うが、マーキンスの「Q10i-BK」は突起が極めて小さいため、このようなことが起こりにくい。クイックシューをたたんでしまえば、より安全性は向上する。小さなことのように思うかもしれないが、フィールドを歩く経験があればわかっていただけるかと思う。
なかなかベストな雲台に出会えない、自由雲台を使ってみたいがどれがいいのかわからないと思っている方は、ぜひ使ってみて欲しい。間違いのない製品であることが、すぐにわかるはずだ。
● 緑のヴェール
≪撮影データ≫
FUJIFILM GFX 50S・GF23mmF4 R LM WR
絞り優先AE(F8・1/8秒) +1.0EV ISO400 WB晴天
● 匂い立つ緑
≪撮影データ≫
FUJIFILM GFX 50S・GF23mmF4 R LM WR
絞り優先AE(F11・1.3秒) +1.0EV ISO200 WB晴天
≪撮影データ≫
FUJIFILM GFX 50S・GF23mmF4 R LM WR
絞り優先AE(F11・1.3秒) +1.0EV ISO200 WB晴天
● 霧わく華厳の滝
≪撮影データ≫
FUJIFILM GFX 50S・GF32-64mmF4 R LM WR
絞り優先AE(F11・1/45秒) +0.7EV ISO200 WB晴天
≪撮影データ≫
FUJIFILM GFX 50S・GF32-64mmF4 R LM WR
絞り優先AE(F11・1/45秒) +0.7EV ISO200 WB晴天
● イワツバメ乱舞
≪撮影データ≫
オリンパス OM-D E-M1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
絞り優先AE(F8・1/1250秒) -0.7EV補正 ISO1600 WB晴天
≪撮影データ≫
オリンパス OM-D E-M1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
絞り優先AE(F8・1/1250秒) -0.7EV補正 ISO1600 WB晴天
● 爽風わたる中禅寺湖
≪撮影データ≫
FUJIFILM X-T2・XF16-55mmF2.8 R LM WR
絞り優先AE(F16・1/170秒) +-0.3EV ISO800 WB晴天
≪撮影データ≫
FUJIFILM X-T2・XF16-55mmF2.8 R LM WR
絞り優先AE(F16・1/170秒) +-0.3EV ISO800 WB晴天